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「脳は何かと言い訳する」 池谷祐二

(P46)
第一次味覚野の反応が、快さ(甘さ)よりも不快さ(苦さ)において強く生じる
私たちは、喜びや幸福感、楽しい、悲しい、苦しい、つらい、怖いなど、多様な感情を持っていますが、その中でも「恐怖感」は動物にとって大切な感情です。
私は毎日のように動物実験でネズミと接していますが、そのなかでも「ネズミは、楽しいとか悲しいとか、どこまで感情を持っているのだろうかと疑問に思う時があります。
仮にネズミが感情を持っていたとしても、人間ほどにははっきりした意識をもっていないような気がしています。
ネズミは言葉を喋ってくれないのでわかりませんが、長年ネズミを見ていて、そんな感じを受けます。
もちろん、カガクテキな根拠があるわけではありません。
(P48)
その一方で、間違い無くネズミも持っているであろう感情が「恐れ」。
これは下等生物でもよく発達している。
ヒトは楽しいとかユーモアというポジティブな勘定がある。
下等な動物にはない。
したがってヒトは高等だと思われているが、ヒト・サルなど比較的高等な哺乳類にしかない感情なら、動物にとってさほど重要でない可能性が高い。
大脳皮質は高次な知能を生むのに必要だが、それは基本的な生命維持に必ずしも必要でないと見ることもできる。
(P49)
下等な動物が備える感情こそ、生命に本質的。
ネズミが恐怖感を持っているなら、恐怖感が生命を維持する上で重要だから。
二つの理由
・危険に遭遇した時、それを察知・感知し、身を守る
・そういう状況に再び陥らないよう記憶し、次回に未然に防ぐため
※安全・味方と誤解し、生命を落とすより、多少の判断ミスがあっても、恐怖を感じ、危険を回避する方が動物に有利。
そのため、不快な情報は、快楽よりも、先入観や思い込みにより増強されやすい。楽しい・愉快という感情は後から。
(P55)
脳は「体があって」初めて存在する。
私たちは脳の価値を体より上位に置きがちですが、原始生物を見れば「体あっての脳」。
「手を動かす」から、「手を動かすための脳部位ができる」のであり、「手に司令を送る脳部位があり、それで手が動く」のではない。
バイオリニストやピアニストは、指を動かす脳領域が普通の人に比べて広い。
「脳領域が広いからバリオリニストができる」のではない。
「バイオリニストをしているから広くなった」である。
※事故や感染症で手足を切断すると脳の対応する部位は萎縮したり、他の領域に占領される。

(P57)
リハビリの効果は老人より若者のほうが回復が早い。
若者は体がよく動くので、体から脳への情報が多い。
老人は体が動かないので脳の回復が遅れる。
※長嶋茂雄が回復したのは体が年齢ほど衰えていなかったから。
「体に引っ張られる形で脳も活性化してくる」
(P58~59)●モチベーション
外発的動機づけ=褒美によるモチベーション向上
まず始める。やる気がなくても行動すると脳が活性化し、やる気が出てのめり込んでいく。
→「作業興奮」興奮=脳神経細胞の活性。
脳が目覚めることより、まず体を起こし、歯を磨き、カーテンを開け、洗顔する。
「我々を恋愛(の苦痛)から救うものは、理性より多忙である」(『侏儒の言葉』芥川龍之介)
(P60)●報酬系
具体的褒美である必要はない。
・最も原始的な方法は「褒めること」。
・達成の「うれしさ」。理解できなかったことが理解できる。
(P65)●快感、ドーパミン、盲目性
報酬系ー快楽を求めるモチベーションードーパミンが活動→盲目的
「本人にとっては、苦労が苦労で無くなる」