皮脂は悪くない
ニキビに悩む方の多くは「皮脂」がお好きではありません。それも当然で皮脂の過剰な分泌はニキビ形成の条件の一つです。また感触が好きじゃない、ということもありますよね。でも、そこにつけ込んで・・・
「皮脂さえ落とせば」「菌さえいなくなれば」
といったニキビ情報や洗顔などの宣伝もあります。
しかし皮脂そのものは皮膚―人体にとって重要な役割があります。
皮膚は人体内の恒常性を維持(=環境の变化が体内に影響しない)することが重要な役割です。
簡単に言えば、
- 体の外から異物が侵入しないこと
- 体内のものが外へ出ないこと
です。
その役割の為に皮膚は表面に角質層を形成し続けています。
角質層のその表面は、
・毛穴から出る皮脂
・細胞間脂質(セラミド)
・汗、不感知蒸泄(トランスエピダーマルウォーターロス)
が混じりあい、「皮脂膜」を形成し、弱酸性を維持することで、
害のある細菌の増殖を抑制し、無害化します。
また見た目に自然なつや、滑らかさ、乾燥の抑止なども
この皮脂膜がきわめて重要な働きになります。
過剰な皮脂はニキビにとって問題ですが、毛穴からすでに出た
皮脂をいくら洗っても、ふさがった毛穴の中の皮脂が
除去できるわけでもありませんし、ニキビが治ることもありません。
また正常な皮脂膜が作られるには、ニキビ菌のはたらきも必要になります。
「菌さえいなくなれば」
「皮脂さえ洗えば」
は消費者の購買行動のスイッチを入れるには解りやすい解説かもしれませんし、さっぱりした使用感なども好まれるかもしれません。
ですがこれで「お肌が正常に機能し、ニキビのお悩みから開放されること」はありません。
多くの宣伝は消費者に短絡的な思考で購買行動を促しますが、現実にお肌をきれいにしていくには、基本的な知識とその理解が大変重要です。