「大不況には本を読む」橋本治 と 「グローバル恐慌の真相」中野剛志・柴山桂太
フランス大統領選挙が興味深い状況です。EUだけでなく今後は世界に保護主義的な動きが出てくるかと思われます。
もちろん「鎖国」と言われるような極端なものでは無く、「国家」という枠組みを建てなおさないと各国の経済も福祉も成立しない状況なのでしょう。
最近何となしに上記2冊を読み返していましたが、どちらもこれまでのグローバリズムの限界と、保護主義について、別の側面からの話です。
多分今から「人類の折り返し地点」に入りますので、私はゆっくり衝撃を受け止めたいと思います。
自分のところで作れるものは、たとえ割高であっても、自分のところで作る」が原則で、「輸入」というものは、「足りないものを仕入れる」だけでいいのです。そのような形で「世界経済を安定させる」という方向だってあるのです。人間は、いつも不景気に対して受け身です。だから「不況に襲われる」だったり「見舞われる」と言います。そうなってしまうと、不景気はまるで「自然災害」のようになってしまいますが、もちろん「自然災害」なんかではなくて、「人の営み」です。(・・・)無駄な加速をしさせてしまった分だけ、景気の回復には手間と時間が掛かるのです。(・・・)でもそれは景気の潮時を見誤った人間のなせる業なのです。だからこそ、「不景気にする」という、能動的な手の打ち方だってあるのです-もちろん、誰もそんなことしようとは思わないでしょうけど。(「大不況には本を読む」橋本治 )
中野:第一時大戦以前の資本主義は、デフレだろうが賃金がどう動こうが、労動者の保護はなかった。市場に任せて環境が破壊されもしたし、児童労働だって平気でされていた時代なんです。完全に価格メカニズムで社会が破壊されていた時代なんです。(・・・)それをなんとかしようと、福祉国家論やケインズ主義が出てきたんですね。社会が市場メカニズムに破壊されないためにです。それを進歩だといえば、進歩するほど保護される領域は広がって、純粋に市場で決まる領域って狭くなるんですよ。柴山:今の生活は、二世代、三世代、あるいはもっと前から受け継がれてきた、有形無形の資本で成り立っているんでしょう。農業だって工業だって、何世代にもわたる蓄積の上に今があるわけです。(・・・)中野:失うのは一瞬ですからね。それを守ろうということなんでしょうね。その守ろうという姿勢をなぜかみんな、後ろ向きのように感じているんですけれど「もっと前向きに新しい創造を」と言う連中が、その見えない大切な物を簡単にぶっ壊してきた。それが「失われた20年」の真相です。(「グローバル恐慌の真相」中野剛志・柴山桂太 )