曲がると釣れる
「あんな、あんな、お姉ちゃんとかナユちゃんとかがな、 言うこと聞いてくれへんねん!」 裏で遊んでいた次女が、玄関を開けて泣いている。 まともに聞いても本人が悪いことがいつものことで、はいはいと慰める。 泣き止んだ娘は部屋の中でふてくされる。 それでも窓の向こうから、他の子供達が楽しそうに遊んでいる声が聞こえる。 自分だけ退屈なのは嫌だし、自分が不在にかかわらず、 楽しそうに遊ばれるのは、ずいぶん面白くないことだろうと思う。 「釣り行きたい」と娘は言った。 何日か前、裏の家の子が父親と釣りに行くのを見て、 「私も」と思っていたのだろう。 風のある日だったが、あまりほうっておいてひねくれても良くな…