経済学

自由だけではなぜいけないのか ~経済学を考えなおす~ 荒井一博

自由だけではなぜいけないか 荒井一博 Ⅲ, 個人の独立性という虚構 ■「関係ない」という価値観 今日の小学生以上の日本人の多くが、「関係ない」という言葉を頻発したり、「関係ない」ことを強く意識して行動したりしているようです。この言葉は、問題となる特定の他者(あるいはそれに関連する事柄)と自分とは無関係であって、自分はその他者から独立しているという主張を含意します。かつては関係ないという言葉を今日のような意味で使う人があまりいませんでした。  これほど明確に新古典派経済学の浸透を象徴する言葉も少ないでしょう。すぐ後で検討するように、同経済学の個人の間には実質的に何の関係もなく、各人が独立していま…
terakaz
10年前