ツラの皮はうすい

terakaz
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2017年1月6日

面の皮が厚くなる

昔から歳を重ねて、多少図々しくなることを「面の皮が厚くなる」などといいます。

大阪のオバちゃんではありませんが、確かに若いころには緊張したであろう場面でも大したことなくなって、「まあいいや。これくらい。」と感じてしまうことが、あなたにもあろうかと思います。

多少は内気な若い方でも、子供のころと比べれば、ずいぶんと図々しくなったと感じることは多々あるでしょう。たくましくなったわけです。

ツラのカワは薄い

もののたとえ、はともかく、実際の私たちの「肌」は私たちが思い込んでいるものよりも、ずっと薄いものです。

皮下脂肪より上を皮膚とすれば、全体でも約2ミリ、表皮といわれる部分で約0.2ミリ、私たちが「肌」という部分はたったの0.02ミリしかありません。この部分を角質層(角層)といいます。

たまに頬をつまんで「私の皮」とおっしゃるお客さまもいらっしゃいますが、「それってお肉なんです」と申し上げるようにしています。

その肌=角質層、これが「きれいかどうか」については、イメージや個人的な思い込み、その時々のさわり心地などでいろいろ語られますが、誰にでも通用する客観的な定義として「角質層が正常」=「きれいな肌」とします。

正常に形成された角質層には、角質細胞の隙間を埋める細胞間脂質、皮膚表面をおおう皮脂膜、細胞を柔軟にし、同時に強度を維持するために必要な水分を抱えるNMF(というアミノ酸)が存在します。

このような角質層を常に作れる肌であれば、その肌は「キレイで健康」といえます。薄く丈夫で、柔軟できれいでつやがあって、という状態です。

正常な角質層が作られる過程

正常な角質層は、おおよそ2週間の期間を経て作られます。先ほどのお話の中の表皮(約0.2ミリ)という部分の一番底。表皮基底層というところで分裂した表皮細胞が徐々に表面に押し上げられます。

この押し上げられる過程で、細胞間脂質、NMFが作られます。このときに死滅した表皮細胞が、角質細胞と(細胞としては死んだ細胞ですが)なり、これが十数層重なり、その隙間を細胞間脂質が埋め、NMFが(略)、皮脂膜が(略)と、先ほどの図のような状態を作り、私たちの身体にウイルスや細菌が容易に侵入できず、同時に水分など体液が外に漏れ出さないバリアとなります。

そしてこのような肌を常に作り続けるには、スキンケアの継続が不可欠となります。

というのはいつもの話ですが、どのようにテクノロジーが進んでも、基本的には人体の仕組みのほうが変わるわけではありません。

ダイエットが日常の食事と運動のバランスをとることの継続であることと同じように、これも特に変わることではありません。

「恥じらいがなくなる」と「皮が厚くなった」

人体のバリアは、わずか0.02ミリの薄い層で、その角質層を含む表皮層でも、わずか0.2ミリほどの厚みしかありません。そしてこれより下の真皮層は毛細血管やコラーゲン、エラスチンといった弾力繊維が存在します。

頬の赤み、という状態は表皮を透かして真皮層がうっすら見える状態です。恥ずかしくなると「頬を染める」は緊張などで血流量が増した状態を肌を透かして見ているわけです。

ところで福田恒存が「幸福論」という本(たぶん)に書いていたことで、「若さの良さ・美徳=恥じらいがある」というくだりがあります(たしか)。

「ツラの皮が厚く」なれば、たしかに赤くなっても見えません。

実際には「皮」は薄いものですが、いつのまにやら恥じらいを無くして「赤くならなくなった」ことを、「ツラの皮が厚い」というのは皮膚の仕組みからも面白い表現といえるでしょう。これは余談です。

※ちなみに赤み、赤ら顔は別の次元のお話。

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